メモ

あったことか、なかったことか、*1あるところに白い狼がおった。白い狼はせっかくだから、「RAGE」というカードゲームを作った。1995年のことだった。
「RAGE」の人気はそこそこだったが、白い狼は基本セット以外に4つの拡張をリリースした。で、息切れした白い狼は「RAGE」のライセンスをFRPGに売却した。1996年のことだった。
さて、「RAGE」を買い取ったFRPGだったが、新シリーズを出すにあたってシステムを変更した。おかげでRAGEファンたちは業怒した、今までのカード資産が全く無駄になってしまったからだ。でもFRPGは1998年から99年にかけて、少なくとも拡張をリリースし続けた。
やがてFRPGはWoCに買収され、WoCはHasbroに買収された。HasbroはWoCを買い取るにあたり、生産性の低いラインをバッサバッサと切り落とした。その切り落とした小枝の中には、「RAGE」の姿があった。RAGEファンは途方にくれる以外なかった。
そこに現れたのが、アズラエルだ。
アズラエル(Azrael Productions)は、オンライン雑誌のプロデュースを営んでいる。「紙が刷れなくとも、思いはネット上で形になる」ことを知るアズラエルは、「RAGE」に命を吹き込んだ。
アズラエルは先ず白き狼の元をたずね、オンラインで「RAGE」を作るためのライセンスを得た。次にアズラエルは業怒猛るRAGEファンたちを呼び寄せ、こう言ったのだ。

新しいカードとかデザインしちゃいなよ、YOU。そのための環境は、オンラインで提供するから。

RAGEファンは歓喜した。絵がかけるもの、カードのアイデアを持つもの、プレイテストをするものたちが集い、それぞれがカードを生み出した。
アズラエルがはじめて拡張をリリースしたのは2003年のことだ。そして、カードは今この年においても生まれようとしている。ルールにも手が加わっている。既存のカードに対する改定もなされているという。
黙示録の戦いがネット上に場所を移すとは、グラス・ウォーカーだけが喜びそうな話だ。しかし、手で触れられるカードは無いが、闘い続けることはできるのだ。誰が不満を持つだろう?

*1:ハンガリー民話の出だし