プレビュー

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ネットワーク・ゼロ
真実は甘くない
けっこうな頻度で、とある動画が動画共有サイトにうpされる。それがオニ怖いんですよ――絵は暗いし、なんという高画質wだし、録音途切れてるし、でも何がオニ怖いって人間がバケモノに姿変えて走っていくんだよ。ああ、まあ、編集だろうね。才能の無駄遣いタグ貼られるような編集技術ね。そんなに値段高くない編集ソフトでもやりようによって色々できるらしい。でも、編集してるように見えないくらいリアルな動画なんよ。
時にそれは人気動画になる。何百というblogに動画が貼られ、「これ編集じゃ無いんじゃね?」みたいなコメが付く。
答えは「編集して無いお」です。その動画はネットワーク・ゼロ、秘密の周波数(周波数が秘密という意味じゃないよ、秘密の内容をお届けする周波数だよ)がお届けするコンテンツなのな。10年位前から、ネットワーク・ゼロはそういうコンテンツをインターネット上で公開してきた。その前身はケーブルテレビ局だった。そして、そのコンテンツは常に事実を映す。
ジム・ハリソンが放送事業を始めたのは1991年9月22日の朝、テキサス州ダラスでの出来事だった。ジムは独立系の映画制作者で、ここ数年は12、3のモンスター映画で特殊効果を担当してたんだ。ある日彼の元に差出人不明の3本のフィルムリールが郵送されてきた。内容は、そこに出てくる人物が実在のものであれば、1970年代半ばに録画されたものらしかった。
1本目のフィルムを見ると、異様なまでにでかい犬が、都市の概観からしフィラデルフィアの住宅街を歩いている映像。2本目のフィルムは、人らしい影がすげえぼやけてるのに対して、周囲の背景はくっきりと映っているという映像。その人らしい影はしばらくすると、霧になって消えた。そして3本目――これが一番やばいらしいのだが――ゴム質ぽく見えるが色は透明な触手の塊が地面から現れ、宙に浮く映像。はっきり映ってる人物はいないし、身元確認できず。ジムはフィルムを裁断し特殊効果かどうか調べてみた。結果、特殊効果では無いっぽかった。
それから何日かして、ジムは視聴者制作テレビ局*1で3本のフィルムを放映した。映像見せた後でジムは視聴者に対して、3本のフィルムについて知ってる人は居ないか呼びかけ、私書箱の住所を公開してみた。結局、3本のフィルムがなんだったのかは分からんかったよ。でもジムの元には何通かの手紙が届いたよ。ジム以外の人々の体験した不思議な話とか、不思議なものの映ったフィルムとかね。
チャンネル・ゼロはこうして始まった。ジムは定期的に不思議フィルムを放送するようになった。彼のコネクションは米国全土に広まった。その時にジムは、自分がとんでもねえ何かを相手にしてるんだと思ったんだ。全ての不思議フィルムの裏側にある、とてつもない陰謀をな。彼がそいつをつかみかけていた時、妻が彼の元を去った。
その間も、ジムのコネクションは怪奇現象を探し続ける。1999年にジムがネットワーク・ゼロをインターネット上に立ち上げたとき、彼の元には74本の怪奇現象フィルムがあった。で、そのフィルムはワールド・ワイド・ウェブに載っちまった。今現在、チャンネル・ゼロの会員は世界規模だ。それこそタイからアラスカまで、リオデジャネイロからニューデリーまで。
ジムは超常存在を信じて疑わないよ、自分の目で怪物を見たことは無いんだけどな。ネットワーク・ゼロはゲリラ的に活動してる。動画うpしたり、音声うpしたり、共有サイトの種別を問わず、殆どの場合説明抜きで。チャンネル・ゼロはその動画を他のウェブコミュニティに送付したりもする。時には、他のハンター組織から得た情報を他組織と共有したりもする――チャンネル・ゼロだってバカじゃない。怪物が危険なことも分かってるし、他の組織が存在することも分かってるから。
ネットワーク・ゼロはメンバー勧誘を頻繁にやってる。ネットユーザが爆発的に増えてっから、もう動画とか音声とかそれこそ100万単位で存在するから、その中から本物を見つけ出すのも難しくは無い。6人のメンバーが寸暇を惜しんでコミュニティサイトとかサーチエンジンを巡回し、放映するに値するコンテンツを探してる。それ以外のメンバーは、彼らのコンテンツを信じてる人が居るのを知ってるから、新たな実録動画を作成するために一所懸命だ。
そして、少なくない割合で、怪物はそんなメンバーの存在に気付く。ジム・ハリソンの活動は世界規模にまで膨らんぢまった。その活動方針はできるだけ多くの人々に真実を報せることだ。もしかすると、ジムに3本のフィルムを送付した人物が求めていたのは、そういう事なのかも知れないな。

*1:アメリカにゃあ在るみたいね、そういう制度。