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ユニオン、第二回
敵について

ユニオンにはマジ色んな奴らがいる。色々すぎて、各メンバーのビジルに対する方法論が一般化できない。だがしかし、フォーラムをざっと見てみりゃあ分かるのは、メンバーの主眼が自分とか家族とかコミュニティとかを守ることにあるという結論。思想とかまるで関係ねえ。もしも敵がいるならば、団結して立ち向かう。「仕事とか家事とかで着手できなくなる前に、とっととビジルしようぜ」的な内容をBBSに書き込んでからな。無論符丁だけどな。
だもんで、彼らは怪物とは何なのか全然気にしません。まあ、怪物っつうたらそれで十分じゃないかしら?ヴァンパイアとか、魔女とか、毛むくじゃらとか、デーモンとか、幽霊とか、まあ似たようなもんよ。そして、時にユニオンのメンバーは、その監視体制をちょこっとだけ拡大解釈することがある。つまり怪物と同様に脅威と見なせるならば、人間でも相手にするのさ。殺人犯やカルト団員に始まり、強盗そして麻薬の売人なんかもな。重要なのは、奴らが何らかの脅威であるというだけなのよ。
つまり実際に誰かがケガしたりしない限り、怪物はユニオンにとって何の脅威でもない。そりゃあ予防策を打とうとするメンバーも居るが、ユニオンという組織は基本的に事後対応で動く。怪物がメンバーの敷地に現れたってんでもなければ、あるいは誰かを襲ってる風でもなければ、わざわざ狩ることも無いってこった。ま、確かに視野狭窄かもしれんよ。でも自分がモンスターハンターやる一方で、仕事もあるし家族も居るつうならば、それはとても合理的な判断だと思うぜ。
ユニオンのフォーラムは有益な情報でいっぱいだ……でも見つけるのはむずいよ。フォーラムのサブカテゴリには様々な種類の怪物関連情報がアーカイブされてる。でも、その情報というのは何百ものスレにちらばっており、当然一般的な会話と貴重な情報とが渾然一体になってるのだ。さらに検索機能もあんまり役に立たない。なんでかっつうと、ユニオンのフォーラムには様々な怪物を指す俗称があるんだけども、俗称の使われ方は一意となるよう統一されてないから。まあ、情報単体で見れば、正確ではあるんだぜ。その怪物に何ができるとか、弱点が何かとか、何に対しては耐性があるとか。でも、投稿者たちが一体どの怪物のことを話しているのか――それが即答できりゃあ苦労は要らないってことよ。間違った情報を信じてたから死んだハンターなんざあ、何十人もいるからねえ。